七不思議
一人もいない休みの日
からっぽの校舎歩いてた
あの壁の染みは幽霊で
あのひび割れは妖怪で
そんなものを見つけては
そろりそろりと歩いてた
ひとつ、この世に生まれたこと
ひとつ、こうして生きてること
少し怖がりな君の手は
汗で湿って柔らかく
怪談などを聞かせては
怯える横顔見つめれば
西日が窓に射し込んで
廊下に伸びる二つ影
ひとつ、やがて大人になること
ひとつ、やがて死んでゆくこと
子供の頃の思い出を
抱いて校舎を歩いても
あの壁の染みは壁の染み
あのひび割れはひび割れで
妖しいことは消え失せて
胸は少しも響かずに
ひとつ、時は流れ去ること
ひとつ、人は別れゆくこと
ひとつ、想いは届かないこと
どしても、どしても、届かないこと
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